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タネが想いを繋ぐ

更新日:2023年6月7日

「種から口に入るまでをもっと身近に」をスローガンに掲げるフードカルチャー・ルネサンス。代表の鈴木さんに「タネ」についてのお話を伺いました。


写真:フードカルチャー・ルネサンス


|人と共に旅をするタネたち


うちは300種とか野菜を育てているんですけど、お客さんに「どうして別の地域の“在来種”を育てているんですか?」と聞かれるんです。

在来種というと、その地域の門外不出のイメージがあるかと思うのですが、長い歴史を紐解くと、本来タネは人の交流と共に旅をしてきているんです。

源平合戦で有名な京都の鹿ケ谷(ししがたに)に、ひょうたん型の「鹿ケ谷かぼちゃ」があるんですよ。それは、元々は京都の行商が青森に行ったときに菊座型のかぼちゃを食べて「このかぼちゃすごくおいしい」と言ってタネをもらって、京都に持ち帰って鹿ケ谷で作り続けたんです。作り続けるうちに、だんだん真ん中が隆起してきて、元の形とは変わってひょうたん型になっていって。これがのちに鹿ケ谷かぼちゃになっていったんですよね。


写真:フードカルチャー・ルネサンス


他にも、島根県の「津田かぶ」という勾玉形のカブは、元は滋賀県に自生していた「日野菜」というカブなんです。

日野菜は、上のほうが紫色で下が白色の細長いカブで、漬物にするとピンク色に染まるので「桜漬け」と言われているのですが、滋賀県のある藩主がこの「桜漬け」をすごく愛していて。でも、あるとき国替えで滋賀を離れて鳥取の方に行かなければいけなくなった。

そこで、日野菜の種だけは持っていきたいと言って、鳥取に持っていった。そしてその地域で作らせたんですよ。それがずっと作り続けていくと、だんだん太くなってきて勾玉みたいになっていって。そこの伝統野菜になったんですよ。

写真:フードカルチャー・ルネサンス


だから、本来タネというものは人の交流とか人と共に旅しているんです。そして辿り着いたその場所でずっと作られ続けていると、その土地にあったような形にどんどん変化していって、そこの伝統品種になったりしているんですよね。


|僕が作り続けている野菜もいつか


僕は今、会津若松の「会津小菊かぼちゃ」をここ箱根西麓で作り続けているんですよ。

会津小菊かぼちゃは、貯蔵性が良いかぼちゃだったので、戊辰戦争で籠城戦になったときに、このかぼちゃで飢えを凌いだんですよ。そんな歴史のあるタネを、縁があって譲っていただいたんです。

多分、このかぼちゃはが生きているうちには姿かたちは変わらないと思うんです。でも、もし誰かがずっとこのタネを繋いでくれていて、ずっと作り続けてくれていたら、ひょっとしたら姿かたちも変わってくるかもしれないですよね。100年後とか300年後とか。

そんなことを考えながら育てているのが、僕自身はやってて楽しいんです。そんな思いもあって、うちの畑では縁のある地域の固定種・在来種を育てています。


|タネが想いを繋いでいく


300年後とかは僕はもういないけど、どこかで「実はこのかぼちゃはね、こういうおじさんが会津若松から縁あってもらってきた種で、ここで作り続けているものなんだよ」なんてことになったら素敵じゃないですか。

人の想いがタネにのって旅をしているというのもロマン。人と人の縁や、様々な人の境遇がここに辿り着くまでにあったりするんですよ。

そういう歴史が絡んでいる食材を、食卓で囲みながら「おいしいね」とか言い合える食卓って楽しいじゃないですか。単なるカブと思って食べるより「そんなカブなんだ」ってみんなで言い合いながらね。そういう食卓が芽生えるような野菜をこれからも届けていきたいと思っています。


 

フードカルチャー・ルネサンス


富⼠⼭を望む箱根⻄麓三島の地で、年間約 300 品種もの野菜を農薬や化学肥料を一切使わず緑肥を主体とした「自然栽培」で作る。 直営店舗だけではなく県内のレストランや個⼈にも販売されており、個性豊かな野菜が好評を博している。













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