「食品ロスが嫌いなんですよ。私自身が食品を捨てるという行為が本当に嫌いでしょうがないんです」そう語るのはうしづまチーズ工場の店長諸田さん。
うしづまチーズ工場では、できたて新鮮のチーズを楽しんで欲しいという想いから、工房の横にカフェも併設している。販売しているチーズは、期限や売れ行きを見ながらカフェメニューに活用しているが、問題となってくるのがチーズ作りの副産物「ホエイ」だという。
チーズ作りの過程でできるホエイ
「モッツァレラは1リットルのうちの100gしかとれないんですよ。10分の1にしかならないんですね。その残りの液体が全部ホエイなんです」ホエイはプロテインに活用されているほど、タンパク質などの栄養価が高く、低脂肪。しかしほとんどの場合廃棄されてしまうことが多いという。
「ホエイ自体が栄養価が高いし、女性の方だとお肌にもいいし、捨ててしまうのがもったいないなと思って。ドリンクを作ったんです」
カフェで出しているホエイを使用したドリンク
うしづまチーズ工場のホエイは、酸味や臭みがなく単体でも飲みやすいと評判だったが、もっと多くの人に気軽に飲んでもらえるように「ホエイのむヨーグルト」や「ホエイ生はちみつレモン」「ホエイベリーベリーミルク」などをカフェメニューで出している。
粉末にしたホエイプロテインはよく販売されているが、生のまま飲めるというところはあまりないのだという。
「あとはピザ生地にもホエイが入っているんです。ホエイをいれるとちょっとフワフワになる。パン作りに使いたいからと、買っていかれる方もいます」
そんな万能なホエイだが、やはり消費しきれないこともあるのだという。
「チーズを作る量が多ければ多いほど、どうしてもホエイもいっぱい出てしまう。なので消費しきれないこともあるんですけど、ホエイを煮詰めて作れるリコッタチーズというものもあるんです。リ・コッタ=再加熱という意味なんです」
うしづまチーズ工場のリコッタチーズ
リコッタチーズはくせのないミルキーな味わいで、独特の弾力のある歯応えが特徴。そのままでもおいしく、活用しやすいので人気商品となっている。
それでも消費しきれない場合もあるため、ホエイを使った別商品の開発にも意欲的だ。
「バターが茶色くなったような見た目のブラウンチーズっていうのがあるんですけど、それを今後作りたいと思っています」
本来廃棄されてしまうものを、次々と「おいしい」に変えていく。私たち消費者は、廃棄されてしまうもので、もったいないから買っているのではなく、本当においしいから購入をする。おいしいからこそ、その場だけでなく買い続けることができる。これが食品ロス削減の理想的な形の一つだと感じた。
今回のFUDO MAGAZINE(電子書籍)では、静岡で大人気のチーズ屋さん「うしづまチーズ工場」を特集しています。チーズ作りを始めたきっかけやチーズの奥深さ、これから目指していることなどをインタビューしました。それぞれのチーズのおいしい食べ方やペアリングなど、チーズ好きにはたまらない一冊になっています。ぜひご覧ください。
うしづまチーズ工場
〒421-2106
静岡県静岡市葵区牛妻 538-1
電話・FAX 054-294-9300
OPEN:月、水~日曜日
CLOSE:火曜日
チーズ販売:10:00~16:00
カフェ:11:00~16:00(L.O.15:00)
Comments