『岩崎蒟蒻店』4代目/岩崎真紗美さん

更新日:4月19日

(「ふじのくに料理屋キッチン」より https://www.fujinokuni-kitchen.com/story)

生産効率よりおいしさを

岩崎蒟蒻店の4代目、岩崎真紗美さんの考えは極めてシンプルで、「自分が買いたいものを作る」のみ。例えばジェンティーレの青木さんが激賞する「バタ練り蒟蒻」は、無数の小さな穴が開いているため切り込みを入れなくてもその気泡に味が染みる、料理し甲斐のあるこんにゃくだ。空気を含ませバタバタと練ることから「バタ練り」と名前がついたこのこんにゃく、噛んだ時に気泡が弾けるので、シコシコして弾力のある食感となるのも魅力の一つ。だが、職人が目で確認しながら丁寧に作っていくため、仕込みから完成まで2日かかる。現在、主流となっている機械式のこんにゃくと比べ、手間も時間もかかる商品なのだ。

 「確かに効率は悪いんですけど、おいしいんです」と岩崎さん。青木さんをはじめ、おいしさのために手間をかける、その姿勢に共感するプロは多い。


岩崎蒟蒻店

静岡県焼津市小川新町1丁目5−14

TEL:054-628-2788  FAX:054-629-7431

https://iwazaki-konnyaku.jp/


昔ながらの製法でおいしいこんにゃくを提供

岩崎蒟蒻店の手練りのこんにゃくのファンは60代、70代も多いという。「やっぱり、昔ながらのこんにゃくじゃないとね」と買い求めていくのだとか。こんにゃく業界全体が効率化を始める前の、おいしいこんにゃくを知っている世代だ。

岩崎さんは、前職のテレビ局のディレクター時代に家業を取材し、3代目である母が業界の通例に従わず、多少の効率化は考えながらも、昔ながらの方法でこんにゃくを作っていたことを知った。それは「たぶん、母が女性だったからだと思うんですよ。工業製品じゃない、食品を作っているんだ、という意識があったのではないでしょうか」。

効率化を重視して、価格だけを追求すると、商品の価値は下がる、と岩崎さんは思う。それはすべてに連鎖し、国内で一生懸命、こんにゃく芋を作っている生産農家まで圧迫する。そうはしたくない。だからこそ、ヘルシーな伝統食であるこんにゃくの魅力がまだ届いていない新しい層に、SNSなどを通じて、積極的に発信をしている。



こんにゃくレシピを発信中

岩崎蒟蒻店として、レシピサイトに積極的にこんにゃくを使ったレシピを載せている岩崎さん。「こんにゃくミネストローネ」、「こんにゃくのカルパッチョ」などの洋風メニューから、「こんにゃくのレモンシロップ漬け」というスイーツまで、レシピは多岐にわたる。それは「こんにゃくの使い方がよくわからない」という若い世代のことも意識してのこと。

ほかにも、地元の個店とコラボレーションして和風ポトフなどのメニューを作ったり、食品メーカーと組んでレトルトおでんの具となったり、今回の青木さんのようにイタリア料理店に食材として提供したり、活動は活発だ。そこには「こだわりの地元食材を未来に残したい」という思いがある。

「地域に根ざして、伝統食材を次世代につないでいく活動は、今後も続けていきたい」」と話す岩崎さん。地域の小学生を対象にした工場見学受け入れや、芋から作る手づくりこんにゃく体験も積極的に開催している。




岩崎真紗美さん

創業昭和2年、歴史ある岩崎蒟蒻店の4代目。大学でマスコミ科を専攻し、映像制作を学ぶ。当初は家業を継ぐつもりはなく、4年前まで地元のテレビ局で番組制作のディレクターをしていた。ひょんなことから家業をテレビ取材することになり、母の思いを聞き、こんにゃくというヘルシーな伝統食に、改めて魅力を感じるように。2017年7月より岩崎蒟蒻店にて、こんにゃくの新たな価値づくり、地域密着型の情報発信を積極的に行う。活躍する女性起業家を表彰する「2019年度J300アワード」大賞受賞など、高い評価を得ている。焼津市出身。