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『岩品農園』いちご農家/岩品 孝則さん


いちご農家

「夜明けが一番美味しいので、朝一番に収穫してパック詰めをしています」


そう話してくれたのは、いちご農家の岩品 孝則(いわしな たかのり)さん。いちごは昼間光合成したものを夜に糖度へと変える。そのため、早朝のいちごは甘さが凝縮されていて、非常においしいのだという。


岩品さんが営む岩品農園は、駿河湾に面した駒越地区にある。駒越地区では、昔からいちごや枝豆の栽培が盛んで、岩品さんも代々続いてきた農家の9代目だ。


岩品農園ではいちごや枝豆に加え、メロンやみかんの栽培もしている。

今回はいちごと枝豆のハウスを見学させてもらった。


いちごの花にミツバチ

写真)ハウスに入るとミツバチが花から花へと移動している。「いちご農家はハチがいないとやっていけないですからね。ハチが働いてくれないと、全部自分で一つ一つ交配していかなければならないので。ありがたいです」と岩品さん


|おいしいのは大前提。求められるいちごを



いちご

「うちでは、[紅ほっぺ]と[きらぴ香]を育てています。この2種類は、実がしっかりしていて日持ちするので、贈り物などにもおすすめですね。2種類とも糖度は同じなんですけど、[きらぴ香]の方が酸味がないので甘く感じます。[紅ほっぺ]は酸味と甘みのバランスがいい品種です」


静岡産の代表的ないちごといえば[章姫]と[紅ほっぺ]が有名だ。

[きらぴ香]は、2017年に誕生した新しい品種で、艶やかできらきら輝く宝石のような見た目が話題となり、味わいも上品な甘さで非常に人気だ。静岡県限定生産のため希少価値が高く、贈答品としても選ばれている。


新鮮ないちご

岩品さんが農業をやる上でのこだわりは、ニーズに合わせた商品を作るということだ。


「 おいしいというのはもう大前提。僕が意識しているのは、取引先に合わせた商品を作るということ。TPOSというか、条件や取引先に合わせた販売や栽培を心がけています。


同じいちごでも、例えばスーパーだったらお手頃な手に取りやすい価格のいちごを出して、お土産屋さんだったら、一等品の真っ赤な形の揃ったものを出します。いわゆるB級と言われる、実が小さいものをスーパーで出してみたんですけど、結構好評で売れているんですよ。


一度お客さんと直接話しをしたときに『小さい子どもがひと口で食べられてちょうどいいのよね』と言っていただきました。


あとはケーキ屋さんも、それぞれのお店にオーダーを聞いてから出しています。

新たに取引を始める時には”どんないちごがいいですか?熟度はどのくらいがいいですか?”

と聞くようにしています 」



|冬にうまい枝豆


駒越地区の枝豆

日本食のブームに伴い、海外でも大人気の枝豆。[edamame]として親しまれているそうだ。岩品農園の枝豆を見せてもらうと、さやが大きく実がふっくらしているのがわかる。夏のイメージがある枝豆だが、じつは冬の方がおいしいのだという。


「 冬は気温が低いので、実がゆっくり膨らんで大きくなっていくんです。いちごも同じで、ゆっくりじっくり大きくなる2月〜3月頃が一番おいしいです。枝豆狩りをやっているところはないですけど、採れたてをその場で茹でて食べてみると本当においしいですよ 」


そして驚いたのが『冬のこの時期に枝豆を育てているのは、日本でこの駒越地区だけ』ということ。

駒越地区にちなんで[駒豆(こまめ)ちゃん]というブランド名を付けて売り出している。


「(冬場は)ハウスじゃないと育たないということと、この辺りが冬でもすごく暖かいということで、昔から駒越では冬場に枝豆を作っています。高級スーパーやレストラン、料亭は冷凍品は使いたくないというところが多い。なので昔からお取引をさせていただいてますね」


枝豆栽培

写真)冬でもハウスの中は汗ばむほどの暖かかさ


冬は虫も少なく、比較的手がかからないという枝豆だが、ハウス内では機械を入れた作業ができないため、基本的にすべて手作業になる。


「夏場は露地で機械を入れて大掛かりに作っているところが多くて、価格競争が激しくなるんですよね。なので需要が高まる秋口〜春先にかけて作っています。手作業で大変な部分もあるんですけど、ニッチな戦略です」


|農家を継ぐというより、農業として経営を成り立たせる



いちご農家岩品孝則さん

65歳以上が7割を占めるといわれる農業従事者の中で、36歳の岩品さんは若手だ。

代々続く農家の長男だが、以前は大手の商社で全国を飛び回っていたのだという。


「いつか継ぐのかなくらいにしか考えてなくて。それも、定年を迎えたらかなと思ってたんです。でもやりたくなっちゃって。農業の知識は全くなかったので、28歳のときに農業の学校に2年間入り、卒業して戻ってきました」


しかし岩品さんが考えるのは、農家を継ぐということとは少し違う。


「農家をやりたいというよりも、起業したかったんです。自分で経営をしたいなとずっと思っていて。せっかくなら、うちに戻ってやろうと。だから、農家というよりは農業経営をやりたいんです。サラリーマン時代に、店舗を持つ責任者の立場にいたので、そういう経営能力を活かしていきたいです。農業も、昔みたいに作って出して終わりっていう時代じゃないなと思うんです。自分が大切に育てたものは、自分で価格を決めて売りたいなというのがあります」


さまざまな人に岩品農園を知ってもらおうと、イベントやマルシェにも積極的に参加をしている。お客様と直接話せるということも、岩品さんにとって大きなメリットになっているという。


そんな岩品さんに将来について聞いてみた。


「将来は、農業を会社にしていきたいです。雇用も増やしながらできたらいいなと思っています。あとは、農家の友人もたくさんいるので、僕や友人たちが育てたものをメニューに取り入れた喫茶店をやりたいなと。僕はコーヒーも好きなので、コーヒーにもこだわったお店がいいですね。いずれ都内にも出せたらいいなとか考えています」


何を求められ、自分は何がしたいのか、何ができるのかを常に頭に浮かべながら行動し続ける岩品さん。「もう若手じゃない年齢です」といいながら、次から次へと飛び出す未来へのワードに、これからの活躍を期待せずにはいられない。



岩品孝則さん

岩品孝則(いわしな たかのり)


清水駒越地区の枝豆農家の9代目。大学を卒業後、商社に就職し全国を飛び回る。30歳を目前に起業を決意し、農業の道へ。現在はいちごをはじめ、メロンやみかんなどを栽培している。岩品農園のいちごはオンラインショップでも購入可能。




岩品農園


静岡県静岡市清水区駒越中1-9-10



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