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井川名物 メンパ最中「てしゃまんく」


てしゃまんく

静岡のオクシズと呼ばれる地域にある「井川」は静岡市の最北端に位置した山間地区です。

大井川鐡道井川線の終着駅でもあります。



井川の風景

そんな井川の代表的な名物が、メンパを模った最中「てしゃまんく」です。

薄い最中の中にしっとりした粒あんとゆずの風味のする小さなお餅が入っています。素朴で優しい味わいがお茶請けにピッタリ。


そんなてしゃまんくですが、実は作り手の方が亡くなり、一度途絶えてしまっていました。しかし、井川を代表するお土産でありファンも多いことから、地元の方がまた作り始めて今に至ります。


てしゃまんく
薄い最中の皮にしっとりとした粒あんと柚子風味のお餅が入っている

‐てしゃまんくの伝説


「てしゃまんく」とは、むかし井川にいたという、仕事ができる力持ちの男の人のこと。

井川から山を越え、大きな荷物を運ぶ持ち子をしていた方だったようで、このてしゃまんくの伝説が井川で受け継がれています。


『てしゃまんくがはるばる井川から駿河の町に出てきて、大きな荷物を持ち見物をしていると、浅間神社に奉納する石鳥居を建てているところに出くわしました。しかし、重い石材は上手く持ち上げることができずにいた様子でした。それを目にしたてしゃまんくは大笑い。

「蟻ほどの人が引っぱっても動かないとは、人の力も情ないものだと思いましてな」そう言われた頭領はひどく怒って「それならお前、あげてみろ。あがらなかったら命はないぞ」と言い放ちます。

するとてしゃまんくは背負っていた大荷物を降ろしもせずに、荷棒を使ってひょいと上まで持ち上げてしまったのだとか。驚く人々をよそに何事もなかったかのように歩いて行くてしゃまんくの荷物の後ろに、メンパのお弁当がぶら下がっていたということです。』


むかしは大きな荷物も人の手で運ぶしか手段がなく、井川の人々にとって力持ちのてしゃまんくが憧れの存在として映っていたのではと考えられているのだそう。



井川名物 てしゃまんく

‐井川メンパとは?


井川地区で古くから使われてきたお弁当箱で、静岡県郷土工芸品に認定されています。井川メンパの始まりは、鎌倉時代に曲げ物が作られていたことだと言われています。室町時代には作業道具を作っていたようですが、江戸時代末期になってお弁当箱など日常使いする道具を作り始めたようです。


井川メンパはヒノキの薄い板を丸く曲げ、つなぎ目を桜の皮で縫い合わせ、漆を塗って仕上げています。井川メンパの魅力は使っていくうちに変化していく漆と、保温性と保湿性の高いところ。詰めたご飯がより一層おいしくなると、今でも愛用している人がたくさんいるお弁当箱です。しかし、職人の数が非常に少なくなってきていて、現在では少人数で製作や修理を行っています。修理を行えば長く使い続けられるメンパは、サスティナブルな商品と言えます。



‐井川の自然



井川は今でも未開の地といってもいいほど、豊かな自然がそのまま残っています。在来作物も多くあり、雑穀から稀少な野菜などさまざまな種類があるようです。

観光地化されていないからこそ、懐かしい日本の原風景を楽しめる井川。てしゃまんくも井川でしか手に入れることができない希少なお菓子です。ぜひおいしい手作りのてしゃまんくに会いに、自然豊かな井川に足を運んでみてください。



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