三保半島の玄関口、折戸地区。ここに明治42年に建てられた古民家で
発酵食を提供するカフェ「SOYハウス」がある。
元々この古民家は柴田醤油醸造所というお醤油屋さんだった。
SOYハウスは木曜と金曜のみの営業で
メニューのテーマは発酵×大豆+薬膳。
ここで働くほとんどのスタッフが子どもを持つお母さんなので、
スタッフに無理のない範囲でお客様にも満足をいただける
「食」と「空間」を提供したいとの思いから、
現在は週に2回のみの営業と決めているのだという。
そんなSOYハウスを運営するのは、
長年静岡でラジオパーソナリティーのお仕事をされていた山下ともちさん。
山下さんにSOYハウスをはじめたきっかけやこだわりなどを伺った。
ー山下さんがSOYハウスを始めたきっかけを教えてください
「元々古民家が好きだったんです。ここを管理する松永設計さんが10年ほど空き家だったこの場所に「一年に一度風を通そう」という企画をやられていて。その企画に前職で関わったことがこの場所との出会いでした。その時はこの場所のことは知らなくて「そんなところあったかな」という感じだったんですけど、来てみたら柱が静かに呼吸をしているのを感じたんですよね。その日はたくさんの人が集まっていたけど、なぜか古い家の柱だけ時が止まっているような不思議な感覚がして。「今日この日が終わったら、ここはまた使われなくなるのかな」と思ったときに、ちょうど部屋にある針の止まった時計が目に入ったんです。明治42年に建築されたお醤油屋さんの建物なんて、ものすごいストーリーがあるじゃない?それが止まってしまっている。もしここが、また地域の人たちが集まったり、子供達の笑い声がするような場所になったら、この時計の針がまたカチカチと動き出すかな。物語は終わらないかな、もう一つ先にいけるかなって。そうなったら素敵だなと思いました」
ーSOYハウスという店名もここがお醤油屋さんだったことと繋がりがありますか?
「その通り!何がいいかなって考えた時に、醤油…SOYソース…SOY…大豆!って。大豆ってほんとなんにでもなる。お醤油になったりお豆腐になったり本当にいろいろなものに形を変えていくので「たくさんの可能性を秘めている」ということで“SOYハウス”。一つの大豆から、いろんなことができるし、いろんなものが作り出せる。そんな気持ちで名付けましたね」
ーカフェで提供している発酵プレートの糠漬けのネタはどのように選んでいますか
「季節ごとに美味しいものを。今ならとうもろこしとか少し前なら新じゃがとか。とりあえずやってみよう!で漬けてみる。何でも漬かるんだよね。素材によって工夫が必要なんだけど、例えば山芋は同じぬか床につけると周りの子がねばこねばこしちゃって嫌がるから、ジップロックとかで山芋専用のお部屋を作ってあげる。シャキシャキしておいしいんだよね。秋はきのこ。舞茸とかえのきとか。これも水切りさえすれば、ちょっと大変だけど、おいしいきのこの糠漬けになる。トマトも漬けられるし、お豆腐も」
ーSOYハウスさんのこだわりを教えてください
「提供する食事に関しては添加物とかは使わないこと。子供にも安心して食べさせてあげられるように、そこだけはこだわっています。世の中にはジャンクフードとかたくさんあるけれど、そういうものって全て排除するのは難しいじゃないですか。子供って好きだったりするし。でも、本物というか基礎の部分というか。素材の本当の味を知っていて欲しいという思いがあります。あとは国産のものはもちろんなんだけど、地元のお野菜をなるべく使っていくっていうところですね。調味料に関してもSOYハウスで使ってる調味料の麹は駿河区の麹屋さん、糠漬けは葵区の糠床屋さんから仕入れています。味噌も、清水区の麹屋さんから出来立ての麹を用意して頂き味噌を作ってます」
ーSOYハウスを運営する上で大切にしている思いはありますか
「とにかく丁寧に。“丁寧に暮らす”“丁寧に生きる”“丁寧に作る”ということを大切にしてます。お客様に提供する醤油麹や塩麹は旧式の方法で作っているんだけど、どんなに忙しくても作る時には気持ちを整えて、気持ちを込めて丁寧にというのをスタッフみんなと共有しています。あとはお取引している地元の店主の方と話していると「身土不二(しんどふじ)」がいかに大切かを改めて感じるんですよね。だから、静岡の気候、風、匂い、すべてをプレートに詰め込んで丁寧に拵(こしら)えています」
> SOYハウスでは子ども向けに「こどもアグリ体験」という農業体験を一年を通して行っている。この体験を通して感じる子供たちの変化や、地域の方々との繋がりをお話ししてもらった。
SOYハウス
住所:静岡県静岡市清水区折戸1丁目2−25
営業時間:SOYハウス 10:00〜15:00
SOYカフェ(食事)11:30〜14:30
※カラダが調う発酵プレートご注文の場合は予約が必要です
予約専用電話:080-9732-0499
Instagram:
(インスタグラムからのご予約も可)
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