top of page

種はどこからやってくる

更新日:2023年1月10日


いつも購入している野菜はどこ産のものを購入していますか?

野菜には収穫された地域が必ず記載されていて、それを確認しながら買っていることかと思います。

野菜が育つにはまず種が必要ですが、その野菜の種たちはいったいどこからきているか考えたことはあるでしょうか。



種の国内自給率


調べてみると、実は日本のタネの国内自給率は10%以下で、そのほとんどは海外からの輸入となっています。

農業をしたことがない私は、この数字にひどく驚きました。「野菜を育てたらその野菜から種が採れるのでは?」そう、育てた野菜から種を採り、また育てるという流れは現代の農業ではあまり主流ではないようなのです。

育った作物から種を取り、その種からまた作物をつくることを「自家採種」と言います。

昭和の初めの頃まではこの自家採種が主流でした。しかし高度経済成長期とともに、大量生産が当たり前となり、より効率の良い農業にシフトしていったのです。


自家採種

まず自家採種というのは、効率が悪い。自家採種をするためには、出荷したい分と採種する分の野菜が必要となります。そしてそれを育てる人手と土地も必要となります。

そして採種用に育てた種が全て順調に採れるとも限らない。つまりコストがとてもかかる割に収益につながりにくいということなのです。

なので、安定した収穫を得るためにも、種は自家採種ではなくほとんどを種苗メーカーから購入し野菜を育てています。

日本の大手種苗メーカーは日本で長い期間をかけ研究開発をし、海外で生産しています。

海外で生産する理由は日本では広大な土地の確保が難しいことと、温暖で湿度が高いため病気になりやすく、種の生産に向いていないためです。海外で生産することによりタネが安定供給でき、野菜も安定して作ることができているのです。


タネの種類?固定種、F1種とは



種には「固定種」と「F1」種と呼ばれるハイブリッドがあります。

「固定種」は代々人の手でいいものを選択し、何代もかけて作られ固定された種で、古くから日本各地の自然の中で受け継がれてきた在来種も固定種の1種です。長い期間を経て作り続けられていくうちに、その土地や風土に適応した種ができていくので農薬や肥料をあまり使わなくでも育てることができます。味や形は一定ではなく、個性派揃いなのが特徴。収穫量や形がまばらで規格外になることもあり、安定しないので大量生産には向きません。自家採種ができるので、育てた作物で次の年も生産できます。


そして現代の主流なっているのが「F1種」。F1種は病気になりにくい、形がいい、といった種を掛け合わせて作られた、人工的な手を加えて品種改良された種です。※遺伝子組み換え作物とは異なります。

短期間でほぼ必ず発芽し、収穫時期や量が安定しているため大量生産に向いています。形も同じような大きさに育つので出荷がしやすい、といった特徴があるようです。味も食べやすいように改良されたものもあり、スーパーに並んでいる野菜はほとんどがF1種です。

ただし品質のいい種ができるのは1代限りのため、収穫したらまた新たな種を購入する必要があります。



輸入に頼りすぎる現実

「野菜」の国内自給率は約80%となっていますが、さきほども述べた通り、「種」の国内自給率は10%以下です。日本は種を育てるための条件が悪く、国内で育てて採種することは難しいのが現状です。しかし地球の気候変動はとどまることを知らず、加速する一方であり、世界規模のパンデミックもこの先再び起こることは十分に考えられることではないでしょうか。

有事が発生した場合、種の輸入は安定しなくなり、野菜を育てることが難しくなってくることもあるかもしれません。そうなると野菜の価格はどんどん上昇し安定した食生活はままならなくなるでしょう。



失われていく在来種

日本には在来種と呼ばれる、古くから特定の地域で育ってきた野菜があります。

静岡県では200種類以上あるといわれていて、一地域で100種類あるところも。

しかし作っている農家は減り、在来種の数はどんどん少なくなっています。採種のノウハウを熟知している生産者の方はどんどん少なくなっているのです。




私たちは便利さや、思い通りのおいしさを求めすぎた結果、自然本来のおいしさや本当に大切なものを失ってきていると感じます。ただ「食べる」という結果だけじゃなく、その「過程」を見つめ直す。自然の恵みというものを芯から感じ取ることを忘れずにいるということ。

在来種や固定種ならば、農薬や化学肥料を多く使用することなく安全な野菜が手に入ります。もっとその重要性を見直し、在来種を大切に守り続けることは、いつか自分やその子供、そのまた子供たちを守ることに繋がっていくのではないでしょうか。



参考:




0件のコメント

最新記事

すべて表示

コメント


メルマガ
bottom of page